DRONE NEWS

2024.05.13

観光地での空撮に法的制約あり!「いずも」事件から考える

海上自衛隊の護衛艦「いずも」をドローンで違法に空撮したと考えらる事件。映える映像を撮りたい気持ちを抑え適法に撮影することが重要だ。今回の事件の違法性について考えた。

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  • 海上自衛隊の護衛艦「いずも」を違法に空撮した疑い
  • ドローン飛行の法的規制や操縦者の適法精神求められる
  • 観光地での空撮はどんなところに注意するべきか

2024年3月26日に中国のSNS・微博(ウェイボー)に投稿された1本の動画。それは海上自衛隊横須賀基地に停泊していた護衛艦「いずも」をドローンによって撮影したものだ。いずもの全長は248mで、ヘリコプター複数機が同時に発着艦できる「全通甲板」を備えている。いずもは現在、F-35B戦闘機の発着艦を可能にするべく改修を受けており、2027年度を目処に「空母化」が完了する見込みだという。

護衛艦「いずも」(出典:海上自衛隊ホームページ)
護衛艦「いずも」(出典:海上自衛隊ホームページ)


国防の要といえる護衛艦をドローンで撮影すること自体は問題ない。だが、3月に公開された映像は、まるで着艦するかのように、いずもの飛行甲板の上空を悠々と飛行する様子を映し出した。事態を重く見た防衛省は映像を分析。2024年5月9日、実際に撮影された映像である可能性が高いという見解を示した。


ロシアによるウクライナ侵略ではドローンが偵察だけでなく、爆弾を積み目標に突撃するような使われ方もされていると、連日報道されている。今回の事件は映像を公開されるだけで済んだが、攻撃も可能であることが白日にさらされてしまった。レーダー等の技術の利用や、自衛官が甲板に立って警戒に当たるなどでドローンの接近に対応ができそうだが、ある元防衛省関係者は「ドローンは小さく、速度も遅いのでレーダーに映りにくい」と対処の難しさを語る。だが、容易にドローンの侵入を許した点は改善が必須だ。


横須賀には海上自衛隊やアメリカ海軍の基地がある一方で、都心から近くて海が見えるスポットとして観光地にもなっている。特に横須賀駅前にあるヴェルニー公園は様々な護衛艦が一望できるスポットで、観光客が写真撮影するだけでなく、地域住人の憩いの場にもなっている。


ドローンは操縦者の適法精神が問われる。今回の映像を撮影した操縦者にはその欠片も感じられないが、どの点に違法性があるかを考えたい。


HOVERAri X1 Smartの登場で、海や護衛艦をバックに気軽に空撮を楽しみたい人も増えそうだ。そんな撮影は果たして可能なのか。今回の事件からは、観光地での空撮でどのような点に注意するべきかも考えられる。

公開された映像に近い画角をGoogleマップで表示。眼の前にヴェルニー公園がある


(以下では関連する法律、観光地でドローンを飛行させる際に気をつけることについて紹介します)

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