- サービス市場では「その他サービス分野」のドローンショーが急成長
- 空撮をはじめ4分野が2桁の増加率
- 物流は前年比3億円減!その原因は
インプレス総合研究所が毎年発行している「ドローンビジネス調査報告書」。日本国内におけるドローンビジネス全般の市場規模が、「サービス市場」「機体市場」「サービス周辺市場」の各分野にわたり、年度ごとに詳細に紹介されている。
2024年3月22日に「ドローンビジネス調査報告書2024」(以下、報告書2024)が発売されるのに先立ち、ドローンビジネス全般や、サービス市場における各分野の市場規模について金額が発表された。2023年度におけるドローンビジネス全般の市場規模は3854億円と推計され、前年と比べて23.9%の増加となった。
だが、全体的には成長が鈍化している。前回の記事では、その原因としてサービス市場が抱える課題にありそうだと論じた。前回の記事はこちらから確認できる。
今回は、サービス市場に含まれる各分野の成長や今後の展開について考察したい。
ドローンビジネス調査報告書ではサービス市場を構成する分野として「その他サービス」「物流」「防犯」「農業」「点検」「土木・建築」「空撮」を取り上げている。
前年度と比較して最も伸びた分野が「その他サービス分野」だ。154億円から265億円へと110億円以上、率にして72%の伸長を記録している。成長に最も貢献したのがエンタメにおけるドローンの利用、つまり「ドローンショー」だ。
2023年度はドローンショーの知名度が一気に高まった1年となった。東京ディズニーリゾート開園40周年を記念してディズニーキャラクターを描くドローンショーが全国で開催されたほか、企業PRとして神奈川県横浜市などの市街地や全国の遊園地など、各地で毎週のように開催された。数百機を使用するドローンショーでは1回あたりの開催費用が1000万円前後になるともいわれ、市場規模を拡大する大きな要因になった。2024年は屋外だけでなく屋内での開催も増えると考えられており、ますます発展する分野となるだろう。
そのほかでは点検が774億円(28%増)、防犯が104億円(30%増)、土木・建築が298億円(40%増)、空撮が80億円(50%増)と高い成長率を示した。ただ、点検以外の分野についてはそもそもの金額が大きくないので、ドローンビジネスの市場規模拡大への影響は限定的といえる。
(以下では農業、物流の各分野について今後のドローンビジネスの取り組み方について紹介します)