DRONE NEWS

2024.03.04

瀬戸内町の革新 ドローンを活用した物流定期運航が始まる

各地でレベル3.5飛行を活用したドローンによる物資輸送が事業化されている。奄美大島では地元自治体とJALがタッグを組み、事業会社を設立。定期運航を開始した。今後の動きを展望する。

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  • 奄美大島~離島間を定期運航
  • 2航路で処方薬や日用品を輸送
  • レベル3.5飛行が離島間物流に与える影響とは

2023年12月から運用が始まったドローンの「レベル3.5飛行」。従来のレベル3飛行ではドローンが道路などを横断する場合、航路との交差点に配置された補助者が、人や自動車の往来を確認しなくてはならなかった。


レベル3.5飛行は補助者に代えて機体に搭載されたカメラなどで、人や自動車の往来をチェックすることが可能となった。補助者の配置が必要なくなった分、コスト削減が期待でき、北海道士幌町や茨城県境町など、各地で事業化の動きが進みつつある。


このような流れの中、鹿児島県瀬戸内町では自治体と航空会社が共同で、レベル3.5飛行を利用した物資輸送ドローンの定期運航を開始した。


瀬戸内町(せとうちちょう)は鹿児島県鹿児島市から南に約420km先にある奄美大島の最南端に所在。加計呂麻島(かけろまじま)、請島(うけじま)、与路島(よろじま)という有人3島も持つ。町内各島はいずれも急峻な山々となっており、山林の面積は約87%を占めている。


離島間の物資輸送は船による海運に頼っているため、海が荒れているときなどは滞ることもしばしば。同町にとってドローンによる空輸は待望されていたといえるだろう。


瀬戸内町では2020年に日本航空(JAL)グループらと、物流サービスに関する運用の課題抽出や事業化に向けて連携協定を締結。ドローンやデジタル技術を活用した離島モデルの社会実装を目指して活動してきた。2022年10月には奄美大島の瀬戸内町古仁屋から、与路島与路や請島池持などを結んで医薬品や日用品をドローンで輸送する実証実験を行っている。

奄美アイランドドローンに対する瀬戸内町、日本航空の取り組み方の関係図


これらの実績を踏まえ、2023年11月30日、瀬戸内町とJALは共同でドローン運行事業会社「奄美アイランドドローン株式会社」を設立。2024年2月29日から、瀬戸内町古仁屋~与路島間、古仁屋~請島間で、ドローンを使用した日用品や処方薬の定期輸送を始めている。

本稿では詳しく取り上げないが、定期の物資運搬だけでなく、災害発生時における救援物資輸送にもFAZER R G2を使用する予定だ。また災害発生時の空撮による情報収集ではMatrice30も投入する


(以下では使用するドローンや航路について、今後の離島におけるドローン3.5飛行の展開について紹介します)

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