- ドローンパイロットが現地へ移動せず、事務所等の遠隔拠点からドローンを操作
- Skydioのドローンポート「Skydio Dock Lite」と機体「Skydio2」を使用
- 撮影後の診断にはAIを活用することでさらなる効率化も狙う
西日本電信電話(NTT西日本)とジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW)は、NTT西日本の橋梁管路および鉄塔の点検業務効率化に向けて、ドローンパイロットが現地へ移動せず、事務所等の遠隔拠点からドローンを操作する実証実験を2023年12月から2024年3月の4か月にわたって実施した。橋梁管路、鉄塔どちらの通信設備においても、遠隔操作によるドローン点検が技術的に可能であることが確認できた。これにより遠隔地にある設備の点検など、現地への移動に労力が掛かる業務において大幅な効率化が期待される。
高度経済成長期に集中的に整備されたインフラ設備は、建築後50年以上経過する設備が今後加速度的に増加する見込みだ。労働人口減少に伴う点検人員が不足するなか、効率的な点検体制の確立が急務となっている。NTT西日本でも橋梁管路および鉄塔の点検においてドローンを活用し、効率化を図ってきたが、ドローンパイロットが西日本各地に点在する点検場所へ移動する必要があるため、ドローンパイロット確保の観点で課題があった。
今回の実証実験ではSkydioのドローンポート「Skydio Dock Lite」を活用し、遠隔地にある設備の点検においてドローンの遠隔操作技術を活用した実証実験を行った。「Skydio Dock Lite」はドローンの自律飛行や遠隔操作を可能とする「Skydio Dock & Remote Ops」のドローンポートシステムのライト版だ。
実証実験では、西日本エリアの市街地および山間・島嶼部の橋梁管路および鉄塔を対象とし、点検品質の確認を行った。遠隔操作においては、現地補助者が「Skydio Dock Lite」と機体「Skydio2」を現地に設置し、ドローンパイロットが遠隔の事務所からドローンを操作し橋梁管路および鉄塔の撮影を行った。
本実証の結果、遠隔操作にでも安定した飛行で、通常点検と同等の撮影および診断が可能だと確認できた。また、ドローンパイロットの現地への移動がなくなったことで、現地への移動に労力が掛かる点検箇所において大幅な効率化が可能となることを確認できた。
実証イメージ
各社の役割は以下の通りだ。
NTT西日本 | 橋梁管路および鉄塔設備の所有者、点検DXの推進の検討 |
JIW | 遠隔操作によるドローン点検の技術検証 |
NTT西日本グループは、自社の橋梁管路および鉄塔の点検について遠隔操作によるドローン点検の活用を推進していく。また、撮影後の診断については、AIを活用することでさらなる効率化を検討する。同様のインフラ設備を所有する自治体および民間事業者への活用を拡大させ、社会全体における設備老朽化課題の解消をねらう。
AI診断イメージ
例) 鉄塔 (赤:透け、青:サビ を検出)
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