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2024.02.28

日立システムズ、効率化を目指して森林調査にドローンとAIを活用

日立システムズは、森林調査のDXを支援する新サービスの提供を2024年度中に開始予定。

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  • 日立システムズは森林調査のDX支援サービスを2024年度中に提供開始予定
  • AI解析ソフトウェアで森林調査の効率化を検討する
  • 森林情報取得調査で19人日ほどかかる場所を4人日程度に短縮

日立システムズは、宮城県牡鹿郡女川町の町有林を対象に、石巻地区森林組合の協力の下、ドローンとAI解析ソフトウェアを活用した森林調査のデジタルトランスフォーメーションに関する実証実験を行った。


この実証実験では、イメージワン、DeepForest Technologies、柳土木設計事務所と連携し、ドローンを活用して森林の樹木検出や樹種識別、林相区分図(※1)の作成などを実施した。これにより、短時間での詳細かつ正確な森林資源情報の取得や、経営計画の策定などに寄与するデータの作成が可能であること、業務工数やコスト削減を見込めることが確認できた。


日立システムズは、本実証実験で得たノウハウを活用することで、森林調査のDXを支援する新サービスの提供を2024年度中に開始する予定だ。また、カーボンクレジット(※2)のひとつであるJ-クレジット(※3)創出のための、LiDAR(※4)搭載ドローンでの高精度な森林資源情報取得にも対応する予定だ。


※1 林相区分図:林種や樹種など、森林の各要素に着目し、塗分けをした地図。


※2 カーボンクレジット:企業が省エネルギー機器導入や森林の保護・植林などを行うことで生まれたCO2などの温室効果ガスの削減効果(削減量、吸収量)をクレジット(排出権)として発行し、他の企業などとの間で取り引きできるようにする仕組み。


※3 J-クレジット:CO2の削減量や吸収量をクレジットとして日本政府が認証する制度。


※4 LiDAR:レーザー光を照射し、その反射光が戻ってくる時間の情報をもとに、対象物までの距離や形などを計測する技術。J-クレジット申請のためにドローンを活用する場合は、LiDAR搭載ドローンを活用する必要がある。


■実証実験の概要


本実証実験は女川町との協創プロジェクトの一環として、日立システムズが取りまとめを行う形で実施された。


女川町の町有林のうち、町有林経営計画を策定中の森林を対象に、ドローンによる写真測量ならびにLiDAR測量を実施後、AI解析ソフトウェア「DF Scanner(※5)」やレーザードローン用点群処理ソフトウェア「DF LAT(※6)」を活用。専門知識を有していなくても、樹木検出や樹種識別、林相区分図の作成、各樹木単位の幹材積量(樹木の体積)推定といった森林資源情報のデジタル化に成功した。


本実証実験による林相の分析結果から、すべてスギだと思われていた場所が、実際にはヒノキやアカマツ、広葉樹もあることが分かり、町有林経営計画の見直しや詳細化に貢献できた。


また、実証実験の結果、石巻地区森林組合をはじめとした多くの森林組合などが所有しているLiDAR非搭載型ドローンのデータでもLiDAR測量データを用いた分析と比べて遜色ない林相の分析などが可能であることがわかった。


加えて、実際に森林に入って行う実踏での森林情報取得調査では19人日ほどかかる場所でも、ドローンとAI解析ソフトウェアを活用すると、わずか4人日程度で実施可能であることが確認できた。


※5 DF Scanner:ドローンの写真などから森林情報を解析するソフトウェア。


※6 DF LAT:レーザードローンで取得した点群データから詳細な地形図や樹冠高データなど、森林解析用のデータ生成を行うソフトウェア。


■今後の取り組み

日立システムズは本実証実験で得たノウハウを活用することで、森林調査のDXを支援する新サービスを2024年度中に提供開始する予定だ。お客さまニーズに合わせて、日立システムズがドローンの手配(空撮作業)も含めて対応し、業務工数やコスト削減、地域の森林整備の促進に貢献する 。


また、J-クレジット創出のための、LiDAR搭載ドローンでの高精度な森林資源情報取得にも対応する予定だ。


日立システムズでは地域森林の保護に取り組む森林組合や自治体などに対し、全国約300拠点のネットワークを活用した日本全国へのサービス展開をめざす。

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