- ドローンの利用は防犯分野で市場規模が拡大
- ドローンを用いた初動警察活動の精度向上を目指す
- 子どもたちの通学路の見守りにも活用される
(取材:水野二千翔〈エアリアル・ウェイライター〉)
ドローンの利用は空撮がイメージされがちだが、これ以外にも様々な活用方法がある。「ドローンビジネス調査報告書2024」(インプレス総合研究所)ではドローンビジネスのサービス分野では物流や農業、点検といったものが上げられている。
なかでも伸展が期待されている分野は防犯だ。2023年度に104億円を記録している市場規模は2028年度に2倍以上の270億円まで成長するとされている。市場の拡大を期待して警備会社でもドローンの活用を模索する動きがある。警備会社のセコムでは2015年12月に敷地内の警備用ドローンを実用化。2023年10月にはAIを活用して巡回警備を行うドローン「セコムドローンXX」を翌春から発売すると発表している。
民間で防犯の観点からドローンの利用が進んでいるが、公的機関、つまり警察でもドローンの活用が始まっている。2024年に大きな動きを見せたのは富山県警だ。4月から県警本部に所属する機動警ら隊の隊員9人を「ドローンパトロール隊」に任命。本格的に警察活動にドローンを取り入れている。
ドローンの投入で期待していることは「初動警察活動の精度向上」であると語るのは、取材に応じてくれた富山県警地域企画課機動警ら隊に所属する藤田諭次席だ。初動警察活動とは、通報を受けたあと、現場に駆けつけた警察官が最初に行う活動のこと。関係者から話を聞いたり、状況を確認したり、あるいは関係者を確保したりする。富山県警が初動警察活動に力を注ぐ理由には辛い過去があった。
(以下では富山県警がドローンの導入を決断したわけ、ドローンを利用するメリット・デメリットについて紹介します)