DRONE NEWS

2024.03.06

ドローンポートを活用した医薬品授受管理で医療の質を高められるか

2023年12月に行われたレベル4飛行での医薬品輸送に続き、ドローンポートを活用した医薬品輸送の実証も東京都内で実施。巨大なポートを活用した実証で見えてきた課題とは?

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  • 東京都江東区でドローンポートを利用して医薬品授受管理を実証
  • 医療機関に隣接するポイントにドローンポートを設置
  • 医薬品の安全な授受や省人化を検証

2024年2月27日、KDDI、KDDIスマートドローン、日本航空、東日本旅客鉄道、ウェザーニューズ、メディセオは、医薬品授受管理の実証について、ドローンポートを活用して行ったと発表した。東京都江東区で2月13日から22日にかけて行われたこの実証は、東京都の「ドローン物流サービスの社会実装促進に係る実証プロジェクト」に基づくもので、都内でのドローン物流サービスの早期社会実装を目指す。


上記の各社で組むコンソーシアムでは、日本初となるレベル4飛行での医薬品配送を2023年12月に1週間に渡って東京都檜原村で実施。それに続く今回の実証では、ドローンポートを使用した医薬品の安全な授受や、授受管理の省人化が可能なのか、検証を行った。


ドローンによる物資輸送には、離着陸地点への人員配置が不可欠となっており、省人化にはドローンポートの設置が有効と考えられている。そこで、今回の実証では医薬品を必要とする医療機関に隣接するポイントにドローンポートを構築。離着陸時の安全確保をしながら配送品を授受するための課題などを確認した。


使用されたドローンポートはIHI運搬機械が開発。大きさは自動車を格納するガレージシャッターと同程度のようだ。かなり巨大な印象を受けるが、そのうちドローンが着陸できる範囲は、幅、奥行きがそれぞれ1.5mとなっている。使用されたドローン「ACSL-PF2」の全長は1.2mとなっているため、やや余裕がない印象だが、自動操縦を利用することで問題なく着陸できるとみられる。


ドローンポートに着陸した機体は荷物を切り離し、荷物をポート内に格納。荷物の到着メールを受信した授受担当者がポートへ出向き、パスワードを打ち込んで荷物を取り出すという仕組みだ。


実証当日は東京都病院薬剤師会会長で聖路加国際病院の後藤一美氏ら病院関係者40人が立ち会った。後藤氏は「医薬品を受け取るだけではなく、病院からの発送も可能になれば、薬の返品もできる。緊急時の病院間での医薬品の融通も期待できる」「ドローンポートを利用し夜間にも医薬品の配送が可能になると、病院および医薬品卸会社の双方で人員が少ない時間帯の省人化につながる」とコメントを寄せた。


(以下では今後の実装や機体面に関する課題と解決の見通しについて紹介します)

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