- 欧州や米州、中東、 アジアなどの国外をターゲットとした空飛ぶクルマ向け運航管理システム
- 既存のUTMは、機能的に空飛ぶクルマの飛行を完全にサポートできる仕様にはなっていない
- 飛行に不可欠な追加機能の開発を進める
Terra Droneは、子会社でベルギーに拠点を置く運航管理システム(UTM)プロバイダーのリーディングカンパニー Unifly NV(ユニフライ)と、3月に出資しグループ会社となったUTMで米国内シェアトップを誇るAloft Technologies, Inc.(アロフト)と共同で、欧州や米州、中東、 アジアなどの国外をターゲットとした空飛ぶクルマ向け運航管理システムの開発に着手する。
2024年4月25日(現地時間24日)、アメリカ・サンディエゴで開催されている世界最大級の無人機の展示会『XPONENTIAL 2024』で発表した。UTMの実装・運用実績が豊富な企業として、その実績を基に複数社が手を組んで空飛ぶクルマ向け運航管理システムの開発を手掛けるのは世界初だ。
近年、世界各国で空飛ぶクルマの開発が進められており、新たな移動手段に繋がる可能性が期待されている。今後、世界の国際的イベントなどに合わせて飛行が計画されているなど、世界的に普及していくことが予測されている。米国のモルガン・スタンレーの調査によると、空飛ぶクルマなどを含む都市航空交通(UAM)の市場規模は、2040年に1兆ドル(約151兆円)、2050年には9兆ドル(約1,362兆円)までに拡大すると見込まれている。
ドローンソリューションを提供するサービスプロバイダーで世界第2位のテラドローンと、カナダやドイツなど国家レベルでのUTM導入において世界トップクラスの実績を持つユニフライ、ドローンや空飛ぶクルマの市場が世界最大規模といわれる米国において、UTM市場で84%以上のシェアを誇るアロフトは、このような市場拡大を見込んだうえで、空飛ぶクルマやドローン、既存の航空機などが安全かつ効率よく共存し、日常的に飛行する未来を実現するためには、低空域におけるインフラプラットフォームとなる運航管理システムの存在が欠かせないと考えている。
また、3社はこれまで、ドローン黎明期から、10年弱の年月をかけてUTM開発を進めてくる。その経験を基に、空飛ぶクルマ市場が拡大するタイミングに備えて、デジタル化や自動化が進む既存のUTMプラットフォームの機能を拡張する形で、空飛ぶクルマ向けの運航管理システムの開発を進めることが可能だと考えた。
近い将来、空飛ぶクルマとドローンの安全で効率的な飛行を可能にするという共通のビジョンのもと、3社共同での開発を始めることを決定した。
既存のUTMは、機能的に空飛ぶクルマの飛行を完全にサポートできる仕様にはなっておらず、空飛ぶクルマ向けの運航管理システムは、より多様で複雑なものになると考えている。3社は、進化を続ける空飛ぶクルマ業界のニーズを認識したうえで、飛行に不可欠な追加機能の開発を進め、既存のUTMに組み込む形で、空飛ぶクルマ向け運航管理システムのプラットフォームを構築していく。また自動化に重点を置き、運用の効率化を促進していく方針だ。
さらに現在、各国で実装が進む既存のUTMと同様、国ごとに一部異なる仕様となることを想定している一方で、中長期的にはグローバルでのシームレスな相互運用・統合を目指して規格化などにも積極的に貢献していく。
開発を進めていくにあたり、空飛ぶクルマ関連のメーカーやバーティポート事業者、航空系企業などからもパートナーを募っていくほか、各国の航空当局や航空管制サービスプロバイダー(ANSP)などからも意向をヒアリングするなど、関係各所との連携を図っていく方針だ。
【合わせて読みたい】
空飛ぶクルマは開発が進められ、日本各地で導入が検討されている。