Aviation

2024.05.21

JAL初のリチウムバッテリー式電源装置「eGPU」を松山空港に導入

航空機は駐機中、ディーゼルエンジン式のGPUと呼ばれる装置から必要な電力や空調を得ている。今回、リチウムイオンバッテリー式の「eGPU」が松山空港に導入された。

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  • 駐機中はディーゼルエンジン式の電源装置「GPU」から電気を供給し、空港環境負荷を削減
  • 「eGPU」を導入することで、従来比でCO2排出量をゼロに削減
  • ITW GSE社製「eGPU」はフル充電の状態で約14便に電気の供給が可能

多摩川エアロシステムズ(TAS)と日本航空(JAL)は、2024年5月9日より、CO2排出削減や騒音の軽減が期待されるリチウムイオンバッテリー式電源装置「eGPU」をJALとして初めて導入した。


航空機には、補助動力装置(APU)が搭載されており、駐機中にAPUを稼働させ航空機に必要な電力や空調を自前で供給することができます。しかし APUは多量の二酸化炭素(CO2)などの排出ガスや騒音を発生させる。そこで、駐機中に必要な電力、空調をディーゼルエンジン式の電源装置「GPU」から供給し、駐機中における空港環境負荷の抑制と航空機用燃料の削減を行ってきた。


今回「eGPU」を導入することで、従来比でCO2排出量をゼロに削減し、静音性は約30%軽減(65db以下)した。これにより、オペレーターの労働環境の改善や、空港周辺の騒音・環境問題を軽減、さらには地球環境保全に寄与することが期待できる。

今回、導入するITW GSE社製の「eGPU」は、フル充電の状態でボーイング737-800型機のターンアラウンド(航空機が到着してから出発するまでの時間)で約14便の間、電気を供給し続けることが可能。全世界で400台以上の実績がある。


これまで、JALは脱炭素化に向けた国土交通省航空局が提唱する空港施設・空港車両のCO2排出削減などの取り組みを推進しており、JALグループでは、これまでに2023年3月に日本エアコミューター(JAC)で7空港(種子島、屋久島、喜界島、奄美大島、徳之島、沖永良部、与論)、2024年3月に北海道エアシステム(HAC)で3空港(札幌丘珠、利尻、奥尻)に、ITW GSE社製の「eGPU」を導入し、運用を開始した。


国内の空港における「eGPU」の配備の拡大を検討するなかで、ジェット機に使用するために充電設備の設置と交流電源の確保が課題だったが、松山空港では除雪車の車載ヒーター用電源の電源プラグを変換することでこの課題を解決できたため、導入に至った。今後はこれらの知見を活かして、他の空港への展開も検討する。


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航空会社は旅客機の運航以外にも様々なビジネスを手掛けている。

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