- つくば市に「つくば空飛ぶクルマ テストフィールド」を設置
- 飛行はスムーズに行われ、積載量の影響も検証
- AirX手塚氏「つくばを関東最大の拠点に発展させていきたい」
2024年3月21日、ヘリコプターによる遊覧やタクシー事業を展開するAirXは、中国・イーハンの空飛ぶクルマ「EH216-S」を使用した、関東地方では初となる実証実験飛行を行った。
AirXはEH216-Sを導入し、2023年6月に沖縄県伊平屋島で、アジアで初めて海上を移動する2地点間の飛行に成功。また、EH216-Sは岡山県倉敷市の一般社団法人MASCも運航し、関西地方以西の各地で試験飛行を実施。日本国内での飛行実績はあるものの、関東地方で飛行したことはなかった。
3月11日、AirXは関東地方では初となる空飛ぶクルマのフライトや地上インフラ、技術実証の拠点として、茨城県つくば市に「つくば空飛ぶクルマ テストフィールド」を開設したと発表。同施設を構えたつくばヘリポートを運営するつくば航空と連携し、空飛ぶクルマの研究を進める意向を示した。これを記念して、3月20日、21日に実証フライトイベントが開催された。
FLIGHTINGではメディア公開された3月21日に取材を実施した。当日の午前9時8分ごろ、栃木県と埼玉県で震度5弱の揺れを観測する地震が発生。つくば市周辺の土浦市や下妻市でも震度4を記録した。記者はちょうどつくばヘリポートへ徒歩で向かう途中だったが、揺れを感じることはなかった。現地へ到着すると、報道ヘリと防災ヘリが地上でアイドリングし、順次離陸していった。午前10時からセレモニーなどが予定されていたが、とくに地震の影響はなかった。
セレモニーにはAirX代表取締役の手塚究氏、つくば航空専務取締役の田中哲夫氏、来賓としてつくば市長の五十嵐立青氏、EHangからChief Financial Officer and Director of the BoardのConor Yang氏が列席。
手塚氏は「空飛ぶクルマが日本の観光面や防災面、生活を支えていく乗り物になると考えている。技術の実証や技能者の育成、運航体制の構築をするうえで、つくばを関東最大の拠点に発展させていきたい」と今後の取り組みに意欲をみせた。
つくば航空はヘリコプター操縦士育成、航空測量、防災ヘリコプターの運航などを行う。つくばヘリポートは茨城県が運営していたが、2022年に同社が施設を買収、運営。それを踏まえ同社の田中氏は「テストフィールドの開設はヘリポートにとってチャンス。空飛ぶクルマの関東エリアにおける中心拠点として育てたい。ゆくゆくはここで空飛ぶクルマの組み立て、整備が行える基盤を整えたい」としたうえで「空飛ぶクルマの操縦士のライセンス取得に向けたスクールも開設する考えがある」と、積極的な姿勢を示した。
来賓の五十嵐市長は「空飛ぶクルマを市民が見て、活用することで、つくば市が科学の街として、また一歩前進できる」と好意的なコメントを寄せた。またYang氏は英語でスピーチし「EH216-Sは日本の12都市で飛行に成功しており、離島間の移動、空中での物流、医療品の輸送など、多様なシナリオでの適応性を実証しています」と自信をみせた。
関係者によるテープカットを終え、いよいよ実証実験飛行を行う運びとなった。
(以下では飛行の様子、気になる騒音について、実証実験飛行の模様の写真を紹介します)