Aviation

2024.05.08

日本空港ビルデングが羽田空港に木造・鉄骨併用の新施設を建設

日本空港ビルデングは、2024年5月7日より東京国際空港(羽田)の第1ターミナル北側に6スポットを備えた出発・到着ゲート施設「サテライト施設」の建設工事に着手した。

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  • 2026年夏頃に供用開始
  • 1階は鉄骨造、2階以上に木造を取り入れた混構造
  • 建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指しす
第1ターミナル北側サテライト施設(イメージ)

日本空港ビルデングは2024年5月7日(火)より羽田空港第1ターミナル北側に6スポットを備えた出発・到着ゲート施設であるサテライト施設を建設する工事に着手した。


本施設は、国土交通省による東京国際空港(羽田)の機能強化にあわせ、将来の航空需要拡大への対応や旅客利便性のさらなる向上を見据えて増築するもので、2026年夏頃の供用開始を予定している。


■本施設の特徴
●羽田空港では初の木造・鉄骨ハイブリッド構造
本施設は気候変動への対策や森林資源の循環など持続可能性と環境への配慮の観点から、羽田空港では初の木造・鉄骨ハイブリッド構造の施設となる。1階は鉄骨造、2階以上に木造を取り入れた混構造で、構造用木材には国産材1,800㎥を使用する予定だ。木材を使用することでターミナルをご利用の皆さまに、自然のぬくもりや心地よさを提供する。


●サステナブルなターミナルビルへ

構造体に木材を使用することで、鉄骨造の施設と比べ、建設時に排出される二酸化炭素を2,630t-CO2削減し、また、供用開始後も建物に長期間1,435t-CO2の二酸化炭素を固定することができる。


また本施設は、太陽光発電パネルや外壁断熱の高性能化などの各種環境技術を採用し、快適なターミナル施設の環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーを30%以上低減。ターミナル運営におけるエネルギーの消費量を抑制する。


また、設計から建設、運用などにわたる全ての段階で、環境に与える負荷を最小限に抑え、サプライチェーンを含めた脱炭素や資源循環にも貢献し、サステナブルなターミナルビルの実現を図り、“人にも環境にもやさしい先進的空港”を目指す。


●木材を活かした空間づくり
木造部分には、「大断面集成材」および「CLT材」「LVL材」を使用。また、木材本来の自然の色と質感を活かした心地よい空間づくりを目指す。

北側サテライト施設(イメージ)
連絡通路(イメージ)


固定橋 出発(イメージ)
固定橋 到着(イメージ)


■ZEB化の取り組み ~ZEB Orientedの認証取得~
ZEBとは、Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称であり、快適なターミナル施設の環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のこと。省エネによって使うエネルギーを減らし、創エネによって使う分のエネルギーを作ることで、エネルギー消費量を正味(ネット)でゼロにすることができるという考え方だ。まず本施設では、その前段階であるZEB orientedの認証取得を目指し、建物で消費する年間の一次エネルギーを30%以上低減することを目指す。(図参照)


1. 建物の消費エネルギーのうち、空調による消費エネルギーが大きいため、建物の外側にかかる熱や冷気の負荷を低減する技術を採用
→採用技術:水平庇による南日遮蔽・木製方立による西日射遮蔽・外壁断熱の高性能


2.建物の消費エネルギーを低減するため、各種設備システムの高効率化技術を採用
→採用技術:高効率熱源の採用・変流量(VWV)制御、変風量制御の採用・ファンのINV制御の採用・床吹出輻射熱空調による居住域空調の採用・LED照明の採用


3.その他
→採用技術:太陽光発電パネルの設置・節水器具の採用・CO2制御の採用


第1ターミナル北側サテライト施設 工事概要
【工事概要】
■工事場所
東京都大田区羽田空港三丁目第1ターミナル 北側


■建物概要
主要用途 空港旅客ターミナル施設(地上3階)
建築面積 約11,000平方メートル
延床面積 約21,000平方メートル
構造   鉄骨造、木造(ハイブリット)


■工事期間
2024年5月7日から2026年5月末日(予定)


■発注者
日本空港ビルデング株式会社


■設計監理者 
株式会社梓設計


■技術アドバイザー
株式会社三菱地所設計


■施工者
大成建設株式会社


【位置図】


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