
- 町唯一の中学校で全校生徒の9割以上が自転車で通学
- 複数機のリアルタイム映像と位置情報を、操縦者から離れた職員室でモニター
- スピーカを使用したアナウンスも十分効果あり
2024年4月12日、一般社団法人国際ドローン協会は、千葉県香取郡東庄町で、東庄町立東庄中学校の集団下校をドローンを使用して見守り巡回した。
今回見守り巡回の対象となる東庄中学校は、町唯一の中学校で全校生徒の9割以上が自転車で通学する。定期的に集団下校を行なっており、教職員が車で安全に帰宅しているかの見回りを行なっていた。今回の見守り巡回はドローンを2機使用して上空80mからこの集団下校を巡視。ドローンの映像を職員室にいる教職員に共有することで、見守りを実施した。ドローンには200倍ズームが可能なカメラが搭載されているため細部まで状況を確認することができる。また、500m先まで通達可能なスピーカを搭載しているためアナウンスや注意喚起を行うことができる。


ドローンの登下校の見守り自体は他でも行われている試み。しかし、今回日本初の試みといえるのが、複数機を飛ばしてリアルタイムに映像とドローンの位置情報を、操縦者から離れた職員室でモニターしながらの見守るという点だ。職員室から教職員が映像を見ることで、業務負担軽減のメリットがでてくる。
業務の効率化のために映像転送と同じく重要なことは、ドローンが現在どこを飛んでいて、地図上のどの方角をカメラで撮っているのかを確認すること。これも今回のケースでは一目瞭然だ。トラブルが発生してもその場所がいち早く特定できる。もちろん映像は常にモニターできるので地図画面と映像画面を切り替える必要がないため確実な見守りが可能だ。
今回の試みでは、新明工業が開発した、ドローン業務に特化したドローン業務専用車両「ドローンポーター」を指揮車として使用している。ドローンポーターにはモニター等設置したコンピュータールームがあり、車内で快適にコンピューターを接続した業務が可能だ。また、大容量バッテリーを内蔵しており、あらゆる電子デバイスへの電源供給ができる。車のエンジンを切ったまま長時間にわたるパソコン業務が可能なのも、今回の見守り実証実験に大きく貢献した。2機のドローンが飛行エリアを逸脱していないか、人や物件と安全な距離が保てているか、天候や周囲の状況を、リアルタイムでドローンポーターから監視をしパイロットへ指示を出した。
安全なドローン運用にはこうした指揮車は必要不可欠で今後ドローン業務に指揮車を使用することがスタンダードになるだろう。

今回の検証の結果、職員室で集団下校の様子をはっきりと確認でき車での巡回と遜色ないことが確認できた。ドローンを活用して見守り巡回を行うことで、教職員の移動の負担が減り、ドローンの高解像度の映像により従来の車での見守り以上に詳細に状況を確認することができた。
また、スピーカを使用したアナウンスは十分効果があることを確認できた。ドローンによる見守り巡回は、防犯カメラの設置が難しい場所でも広範囲を詳細に確認することができるため巡視だけでなく捜査などの場面でも活用が可能だ。
本プロジェクトは東庄町役場と東庄町教育委員会が企画立案。一般社団法人国際ドローン協会がドローンの飛行を行い、東庄町立東庄中学校の中学校の下校を見守り巡回した。