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2024.04.09

狭小空間点検ドローン「IBIS」を福島第一原子力発電所の調査に活用

Liberawareが開発・製造する狭小空間点検ドローン「IBIS」が東京電力ホールディングスが実施した「福島第一原子力発電所1号機原子炉格納容器内部調査」で活用され、未確認エリアの撮影に成功した。

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  • 福島第一原子力発電所1号機原子炉格納容器の内部調査に活用
  • 設備や構造物に大きな損傷がないことが明らかに
  • 閔弘圭代表取締役CEO「11年の時を経て再び原子炉建屋内を自律飛行するドローンに挑戦する機会」

Liberawareが開発・製造する狭小空間点検ドローン「IBIS(アイビス)」が、東京電力ホールディングス(東電HD)が2月28日と3月14日に実施した「福島第一原子力発電所 1号機原子炉格納容器内部調査」で活用され、これまで確認ができていなかったエリアの撮影に成功した。

(画像:プレスリリース)


福島第一原子力発電所 1号機原子炉格納容器(PCV)内部調査では、これまで主に地下階の調査が中心だったが、 PCV全体の状況を把握することを目的に、今回PCV内部の気中調査が計画された。ペデスタル内の気中部を調査することは2011年の東日本大震災以降初めての試みであり、ドローンを活用することも初めての取り組みだ。


PCV内部は床面に障害物もあり溝や段差もあることから、障害物のない空中部分を往来できるドローンは、地上を這うタイプのロボットよりもスタックする可能性が低いと考えられた。そこで、狭小空間を安定して飛行でき、寸法が20cm四方と小型のうえ、超高感度カメラとLED照明を搭載して暗所での撮影も可能な「IBIS」に白羽の矢がたった格好だ。調査では計4機のIBISが使用された。


2月28日に行われた1回目の調査では、ペデスタル外側の気中部を調査し、原子炉格納容器貫通孔(X-6ペネ)や制御棒駆動機構(CRD)の交換用開口部およびレール等の状態を確認。現時点で確認できている範囲では、設備や構造物に大きな損傷がないことが明らかになった。


3月14日の2回目の調査では、ペデスタル内部の気中部を調査し、ペデスタル内壁、ペデスタル内構造物、制御棒駆動機構(CRD)ハウジングの落下状況等を確認している。また、ペデスタル内部においては、CRD交換用開口部付近につらら状や塊状の物体があることや、内壁のコンクリートに大きな損傷がなかったことを確認できた。

(出典:プレスリリース)


■弊社代表取締役CEO 閔弘圭コメント
私がドローンに出会ったのは、11年前、千葉大学が資源エネルギー庁から受託したプロジェクトに研究員として参加したことから始まりました。そのプロジェクトでは、福島第一原子力発電所の事故後の原子炉建屋内を自律飛行するドローンを開発するミッションに挑戦しました。技術の限界と闘いながら、多くの試練を経験しましたが、実証実験を最後にプロジェクトを終えることとなりました。 そして、11年の時を経て、再びそのミッションに挑戦する機会を得ました。 今回はLiberawareの一員として、過去に私が果たせなかった夢を現実のものとし、社会に貢献できたことに心からの喜びを感じています。また、この機会を得られたことを、心から光栄に思います。Liberawareでは、これからもより高性能で使いやすい製品を開発することで、社会にさらなる貢献を目指します。


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