- 長野県で空飛ぶクルマ社会実装のシンポジウムが開催
- 河川や急峻な地形によって困難な移動を空飛ぶクルマで克服することを目指す
- イーハンEH216-Sが県内初登場
2024年1月24日、長野県の長野市オリンピック記念アリーナ(エムウェーブ)で空飛ぶクルマの長野県内における社会実装に向けたシンポジウム『「空飛ぶクルマ×鉄道×まちづくり」シンポジウム in NAGANO』が行われた。
長野県では2023~2027年度の総合計画「しあわせ信州創造プラン3.0」を策定。同県は河川や急峻な地形が多く、物理的に移動がしづらい。一方で県内には航空産業が根ざしていることから、エアモビリティを導入し、利活用を図ることを狙った「デジタル・最先端技術活用推進プロジェクト」を総合計画内に設けている。
2023年9月に県内の125団体が参加する官民協議会が発足し、年度内を目途に山岳県・長野県版ロードマップの作成を目指している。
長野県ではまた、心身が良い状態を保ち満たされた状態を表す「Well-being」な社会の実現に向けた取り組みも行っている。その一環として、東日本旅客鉄道(JR東日本)が委員長を務め、移動や空間価値の向上を目指す「WaaS共創コンソーシアム」に参画。シンポジウムでは長野県内初となる空飛ぶクルマの展示や、コンソーシアムにおける取り組みとしてヘリコプターを使用した実証実験の結果報告、県内における空飛ぶクルマの活用についてのワークショップなどが行われた。
1998年に行われた長野オリンピック。エムウェーブではスピードスケート競技が行われ、清水宏保選手らが活躍した。
そんな会場で目を引いたのは世界で初めて航空機の商用飛行に必要な「型式証明」を取得した空飛ぶクルマである中国イーハンの「EH216-S JX0176」。展示されたのは、岡山県倉敷市水島地域の企業が設立した一般社団法人MASCが運用する機体だ。本拠地である中国地方から20tトラックに格納されて運搬されてきたという。
現在70団体が加入するMASC。2021年6月からEH216-Sを用いた飛行試験を行っており、2023年2月には大分県別府湾、岡山県笠岡ふれあい空港で有人飛行に成功。同年3月には大阪府枚方市でも河川上空を無人飛行している。本年度も飛行試験を予定しているそうだ。