DRONE NEWS

2024.03.29

日本化薬、ドローン用フロートパラシュートシステムの有効性を証明

日本化薬はALSOKらと協力し、自社開発の安全装置を搭載したドローンで水上太陽光パネルの点検の検証を行った。

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  • フロートパラシュートシステムとはフロートとパラシュートを一体化したシステム
  • フロートパラシュートシステムが飛行に与える影響は無し
  • フロートパラシュートシステムが点検業務に与える影響も無し


日本化薬(東京都千代田区)は、川島町土地改良区、太陽グリーンエナジー、ALSOK、GOFLYの協力のもと、同社が開発するドローン用安全装置「フロートパラシュートシステム」を搭載したドローンが水上太陽光パネル点検を支障なく実施できるかを検証。その結果、水上太陽光パネルの点検を支障なく実施できることが確認できた。


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ドローン用安全装置「フロートパラシュートシステム」とは、水に浮く機能(フロート)と、落下衝撃を緩和する機能(パラシュート)を一体化したシステム。搭載することで、水上に墜落してもパラシュートで衝撃を緩和し、フロートで浮揚するため、機体の回収が行える。


昨今、水上太陽光パネルの点検、洋上風力発電設備の点検、河川や海上空を活用した物流など、水上でドローンを活用する動きが多く見られる。そのなかで点検設備を保有している企業や、河川管理団体、港湾団体などから「万が一ドローンが落下した際にドローンは水没しないのか?ドローンを回収することができるのか?」「水面に落下した際にドローンの部品などが飛び散り、海洋汚染などにならないのか?」など、ドローンの安全な運用や環境に関する意見や課題があがる。


フロートパラシュートシステム」を搭載することによる点検業務への支障について

※1:マニュアル飛行への影響について

本検証でドローン操縦を担当したALSOKにヒアリングを行なったところ、フロートパラシュートシステムの有無で操縦感の違い等は無かったと回答があった。


※2:ミッション飛行への影響について

本検証でドローンのミッション飛行を担当したALSOKにヒアリングを行なったところ、フロートパラシュートシステムが搭載されていることによるミッション飛行への影響は無かったと回答があった。


※3:パネル点検業務への影響について

本検証で太陽光パネル点検を担当したALSOKにヒアリングを行なったところ、フロートパラシュートシステムが搭載されていても撮影画像等への影響はないことから、パネル点検業務への支障は無かったと回答があった。


※4:飛行時間への影響について
下の表は高度40mでミッション飛行(11分39秒の飛行)をシステム搭載「無し」と「有り」の状態で実施した際のバッテリー残量の減少量を計算した。10分以上の飛行を行っているにもかかわらず、搭載の有無でバッテリー減少量の差が5%のみだったため、飛行時間への大きな影響はなしとしている。


本検証に関係する会社からの声

・太陽グリーンエナジー株式会社:水上太陽光パネル設置者

太陽光発電所の点検では五感に頼る作業も多く、人海戦術による部分も大きいと認識している。特に水上太陽光発電所では野立ての太陽光発電所に比べて足場も不安定であることから、広範囲にわたって設置されている太陽光パネルの異常箇所を迅速かつ正確に把握するのは容易ではないと推測される。仮にドローン活用による点検が安全な形で普及すれば、稼働状況の把握が今まで以上に迅速にでき、結果として発電ロスや故障の予防に繋がる可能性があると感じた。


・ALSOK:ドローンによる点検事業者

今回は実証として日本化薬様が開発したドローン用安全装置「フロートパラシュートシステム」をドローンへ搭載し水上太陽光パネル点検を実施致しました。同装置を機体に搭載した状態でも違和感はなく操縦でき、通常時の点検と同様の感覚で作業を行うことができました。昨今、ドローンは急速に普及してきており、インフラ点検や物流等、さまざまな分野で活用されています。今後、ますますドローンの活用が見込まれるため、同装置のような「安全・安心」への取り組みが必要となってくると思います。

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