DRONE NEWS

2024.03.25

大林組が完全無人のドローン巡回システムで建設現場を効率化

大林組とNTTコミュニケーションズは、ドローン「Skydio2+」とドローンポートを活用し工事進捗管理を行った。その詳細をレポート。

大林組とNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は、屋内建設現場における施工管理の効率化をめざし、ドローンを活用した完全無人巡回による工事進捗管理の実証実験を3か月にわたって実施した。


工事現場では、現場巡回して工事進捗状況の確認や、作業工程を記録するために、工事写真を撮影・記録する進捗管理を毎日行う必要がある。


本実証により、屋内建設現場の巡回・記録に要する時間を従来の1時間から10分に短縮。日々変化する状況下で、安全に自動巡回ができることを確認した。


建設業界では、工事写真の撮影や測量にドローンの利用が進んでいる。だが、屋外での使用が多く、GNSSが取得できない屋内での活用は進んでいない。大林組とNTT Comは、2021年より現場巡回をはじめとする施工管理業務の効率化をめざし、屋内建設現場でも安全に自動巡回できるドローンの活用に向けて、運用検証を共同で実施している。


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従来、ドローンの利用においては、離着陸やバッテリー交換のために操縦者が現場にいる必要があった。本実証では自動給電可能なドローンポートと専用のドローンポートシステムを導入し、ドローンのみの完全無人巡回を実現した。


実証実験に使用したドローンポート「Skydio Dock」 
ドローンが開口部から地下に降下する様子


本実証は東京都港区の大規模建設現場で実施した。この現場は地上と地下の工事を並行して実施しており、地下空間では重機による掘削作業が行われていたため、職員の立ち入りが困難で進捗管理に時間を要していた。


本実証では、Skydioの自律飛行型ドローン「Skydio2+」と専用のドローンポートシステム「Skydio Dock and Remote Ops.」を活用して操縦者を不要とし、進捗管理の効率化を図った。


「Skydio2+」は、機体の上下に搭載されたカメラで取得した映像から、周囲の3次元環境と自己位置を推定する。これにより、工事の進捗により周囲の状況が変化した場合でも障害物を回避し、安全に自動巡回できる。


「Skydio Dock and Remote Ops.」は、事前の飛行ルートやスケジュールをクラウドサービス「Skydio Cloud」上で設定する機能を有する。 また、自動離発着、自動給電機能を備えており、特に大規模現場において課題となる、現場と現場事務所間の行き来に要する手間と時間を削減できる。


さらに、ドローン映像のリアルタイム配信機能により、遠隔地から現場状況を確認することが可能となり、施工管理者や普段現場に立ち入ることのない発注者も、安全に工事進捗を確認することができる。実証期間は2023年11月から3か月にわたり、平日の21時から約10分間の飛行を合計56回実施した。

ドローン・ドローンポートを活用した工事進捗管理イメージ


大林組とNTT Comの役割分担は下記の通りになっている。

同一ポイントで自動撮影された写真群


・本実証の様子 :   https://www.youtube.com/watch?v=o5qQKEeDKp0


今後、大林組とNTT Comは、2024年度内に建設現場での本運用開始をめざし、現場への導入支援体制を整備していく。本実証ではドローンで撮影した動画による進捗管理を実施したが、今後は動画から切り出した連続的な静止画を点群生成ソフトで解析し、3次元点群データや3Dモデルを作成するなど、映像の二次利用による工事進捗管理の高度化と、施工管理業務の効率化を推進する。

自動飛行で取得した動画から解析された3Dモデル


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