- ドローンの物流分野の市場規模は2028年に863億円へ拡大
- 2024年度中に都心部でのレベル4飛行も
- レベル3.5飛行は2024年1~2月に3件実施
【ドローン物流連載】シリーズは全4回の記事で、現在の国内におけるドローン物流の状況や今後の展望について紹介します。
ドライバーの労働時間を規制する「2024年問題」の解決に向けて、ドローンによる物流や物資運搬に期待が集まっていることはご承知の通り。「ドローンビジネス調査報告書2023」(インプレス総合研究所)では、物流分野の市場規模が2022年度の24億円から、2028年度には863億円へと拡大すると見込まれている。
ドローンに搭載されたカメラ映像から人の立ち入りがないかを確認することで、補助者や標識の設置を省略して無人地帯上空を目視外飛行する「レベル3.5飛行」も2023年末から解禁された。ドローンを物流や物資運搬に活用する下地は確実に整備されている。
今後の発展には有人地帯上空における目視外飛行「レベル4飛行」や、積載量の多い機体の開発、1人の操縦者が多数の機体の運航を担う「一対多運航」の実現が不可欠だ。
ドローンによる物流や物資運搬を実装するため、これまで日本各地で実証実験が行われてきた。レベル4飛行については2023年3月に東京都奥多摩町で行われた実験を皮切りに、沖縄県久米島町、東京都檜原村で実施された。各地ともいわゆる過疎地であり、レベル4飛行が最終的に目指す都市部におけるドローン物流実装の実証とは程遠いが、知見を蓄えることは重要だ。なお檜原村の実証実験に参加しているKDDIは「2024年度には都心部でのレベル4飛行を見据えた長期的なドローンのサービス実証を行う予定」を表明している。
では、レベル3.5飛行以下の実証実験についてはどうなっているのだろうか。2024年1月1日~2月13日までに行われた物資輸送や物流にドローンを活用するための実証実験のうち、レベル3.5飛行の実証実験が行われたのは3件だった。
2月7日に長野県王滝村で行われた実証実験では、災害時の物資輸送を想定し、医療物資を搭載したドローン「AirTruk」が、崩越テニスコートからおんたけ休暇村まで片道10kmを飛行した。御嶽山麓にある人口657人の王滝村。村内の道が行き止まりになっていることが多く、災害発生時には孤立地域が発生するおそれが高い。救援物資を輸送するためにはドローンの力が不可欠という考えのもとで行われた。
(以下では、レベル3.5飛行以下の実証実験の一覧と、今後のレベル3.5飛行の見通しについて紹介します)