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2024.04.15

輪島市黒島地区でフォーム・プラスが360度全方向3Dカメラ測定を実施

フォーム・プラスは、輪島市黒島地区重要伝統的建造物群保存地区をドローンなどを活用してマルチ3D測定を実施した。

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  • ドローンによる3D測定は基準局の設置も含め約半日で全域の3D測定を完了
  • ドローンと地上型レーザースキャナー使い分け災害発生後の業務を効率化
  • 輪島市職員「解析できた黒島地区の隆起データを復興の基礎データに」
キャプチャした3Dデータを確認する輪島市役所職員


フォーム・プラスは輪島市役所と大鐘測量設計の協力のもと、輪島市黒島地区の重要伝統的建造物群保存地区において、360度全方向3Dカメラを使用したマルチ3D測定を実施した。このマルチ3D測定は、車載、歩行、ドローン、地上型レーザースキャナーを使用して、約1,500mx600mの範囲で実施され、被害状況の確認や復興の取り組みを3Dデータとして記録するために行われた。


360度全方向3Dカメラによる車載や歩行での3D測定、そしてドローンを使った写真測量など、様々な手法を組み合わせることで、被災地の状況を短時間で把握することができた。また、取得した3Dデータは応急危険度判定にも使用できる正確度を備えており、将来的には遠隔での判定にも導入の可能性がある。


今回のマルチ3D測定により、被害状況の全体像を効率的に把握するための重要な手法が示された。さらに、応急危険度判定の迅速化や費用削減、被害の原因解明や復興計画の策定に活用できる重要なデータが取得できた。


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能登半島地震でのドローンを活用した調査は各社が取り組んだ。

360度全方向3Dカメラを車両に設置し3D測定
通行止で車両が入れない場所は、カメラを手に持って3D測定

■ 本測定の目的
1)重要伝統的建造物群保存地区の被害状況の確認
2)今後の復興の取り組みや、まちづくりの過程を3Dデータとして後世への継承


■ 測定について
重要伝統的建造物群保存地区は、現在も瓦礫の撤去が行われていないエリアや修復されていない道路があるため、車載やドローン、また、歩行による測定も含め、一台で全ての測定方法に対応可能な米国GeoCam社( https://www.geocam.xyz )のオールラウンドな360度全方向3Dカメラを使用した。

瓦礫で中に入れない場所などはカメラに一脚を取り付け隙間を縫って3D測定


また、詳細な3D測定を行うために、旧角海家住宅付近
https://www.city.wajima.ishikawa.jp/docs/2016062700015/ )は大鐘測量設計( https://www.ogane.co.jp )が地上型レーザースキャナーを使いTLS点群データを計測した。さらに、大鐘測量設計株式会社は重要伝統的建造物群保存地区の全域を3D測定するためにドローンを使用した写真測量を行い点群データを解析した。


■ マルチ3D測定の結果、明らかになったこと

1.360度全方向3Dカメラによる時間的効用
360度全方向3Dカメラを使用した車載や歩行、そしてドローンによる3D測定は、被害状況などを短時間で把握するのに非常に役立った。


車両と歩行による3D測定はカメラの設置時間も含め約2時間で重要伝統的建造物群保存地区の全域を、またドローンによる3D測定も、基準局の設置も含め約半日で全域の3D測定を完了させることができ、被害程度の全容を正確に把握することができた。


2.360度全方向3Dカメラの費用対効果
また、360度全方向3Dカメラで取得した3Dデータは、応急危険度判定にも使用できる正確度を備えており、将来的には遠隔での応急危険度判定にも導入できる可能性がある。今回の地震では応急危険度判定調査が累計238班体制で11日間かけて行われましたが、3D測定を導入することで、遠隔からでも建築士による応急危険度判定が実施可能となり、安全性の確保の他、費用面でも桁違いに抑えることになるとの試算が出されているだけではなく、地震発生直後に短時間で非常に効率的に応急危険度判定を行えるという大幅な時間短縮のメリットがある。


3. 測定の柔軟性
さらに、今回使用した様々な3D測定方法に対応可能なカメラを使うことにより、状況に応じて素早く測定方法(車両、徒歩など)を変えて3D測定を行うことができるため、瓦礫で交通が遮られている道路などがあった場合は、カメラを車から外し手に持って測定を続けることや、瓦礫で遮断されている室内などはカメラに一脚を取り付け隙間を縫って測定することが可能であるなど、現場に行って初めて分かる状況に柔軟に対応できるメリットは多大だ。


輪島市関係職員のコメント

発災後の倒壊が多数あり道路状況も悪い中で危険を伴う現地調査が、3Dデータ調査で行われると、調査効率、安全性や費用面でもメリットがある。」
「解析できた黒島地区の隆起データは、国の伝統的建造物郡保存地区の街並みを守る復興に向けての基礎データとなり、スピード感を持って実施されると良いと感じる。民間事業者の解析結果が復興のスピードアップになると被災自治体としてはありがたい。

■ 今後の応用可能性について

車載と歩行、また、ドローンと地上型レーザースキャナーのマルチ3D測定を上手く使い分けることにより、災害発生後の業務をかなり効率化できることが実証された。すなわち、災害対応において必要となる情報を的確に提供する仕組みとして、
1. 災害発生直後の被害状況の全体像を把握するには、車載と歩行用の360度全方向3Dカメラおよびドローンを使った3D測定が最も効率的であり迅速性を高めるやり方だ。
2. 災害発生直後の応急危険度判定を行うには、車載と歩行用の360度全方向3Dカメラおよびドローンを使った3D測定が最も効率的であり、迅速性を高めると同時に多大な経費削減をもたらする。
3. 被害の原因解明や復興計画や修繕計画には詳細な3Dデータが必要となるが、今回大鐘測量設計株式会社が地上型レーザースキャナーを使い行なった計測データからは土地の隆起と水平方向の移動が確認されており、今後の復興計画や土地課税台帳の更新、また、土地の境界復元などには必要不可欠なデータが取得されている。

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