DRONE NEWS

2024.06.21

警視庁に新設された「小型無人機係」がドローン運用を強化

警視庁はドローンを使った雑踏警備を実施。警視庁は今後、警備にドローンをどう活用するのか。取材を通して4月新設の小型無人機係が鍵を握ることが明らかに。

この記事を 行で
  • ドローンの警備分野での市場は急成長
  • Japan Drone 2024でも様々な警備ドローンが展示
  • 警視庁は今後もドローンの活用を拡大していく方針

2024年2月7日の記事で、警視庁が東京都台東区の浅草寺で行われた節分会の雑踏警備に、ドローンを投入したことを取り上げた。都内では初となる雑踏警備でのドローン活用となった。


警備分野はドローンビジネスにおいて期待されている。インプレス総合研究所が発行する「ドローンビジネス調査報告書2024」によれば、2023年度における防犯分野の市場規模は104億円。2028年度には270億円と約2.6倍へと伸長することが見込まれている。


2024年6月に開催された国内最大のドローン展示会「Japan Drone 2024」でも、ドローンを警備に使用するためのソリューションを紹介するブースが見られた。ジャパン・インフラ・ウェイマークはタイヤで移動する人型ロボットにドローンの離発着ポートを設置した「ugo+drone」を展示。ビルのフロアを人型ロボットが巡回警備し、吹き抜けの間をドローンが飛行して他の階を監視するといった使い方を想定している。綜合警備保障(ALSOK)はドローン「Skydio」と自動で離発着や充電を可能にするドローンポートを組み合わせたソリューション「ドローンパトロールサービス」を紹介した。

ALSOKブースに展示されたSkydioとドローンポートを組み合わせたソリューション「ドローンパトロールサービス」
「ugo+drone」を背面から撮影。背中にはSkydio X10が着陸している


第2種型式認証の機体の登場も、ドローン警備を後押ししそうだ。イームズロボティクス「E6150TC」、センチュリー「D-HOPE Ⅰ-J01」には、実施可能な特定飛行に目視外飛行が含まれている。「第2種機体+二等無人航空機操縦士」で許可・承認の申請が省略できる飛行は、「E6150TC」が物流、「D-HOPE Ⅰ-J01」が災害対応に対応しており、そのままでは警備での使用ができない。だが、警備で使用したいというユーザーの希望もメーカーに届いていると考えられる。各メーカーの対応に期待したい。

センチュリー「D-HOPE Ⅰ-J01」。「ウィンチを使用した目視外飛行」については「第2種機体+二等無人航空機操縦士」で許可・承認の申請が省略できる


さて、冒頭で取り上げた警視庁での取り組みについて話は戻る。当の警視庁はドローンによる警備にどのような見解を持っているのだろうか。FLIGHTINGでは警視庁に、今回のドローンを活用した雑踏警備の効果や今後の取り組みについて取材を申し入れたところ、書面で解答を得た。


雑踏警備にドローンを活用することになった経緯や実施する際の注意点、機体選定の方法について問い合わせたところ「個々の警備措置についてお答えすることは、警備の対処能力に関わるため、お答えは差し控えます」と明確な解答は得られなかった。一方で、ドローンを使用するメリットを「警備現場を俯瞰的に見ることができる手段として有用である」と考えているという。


報道された映像を確認すると、周囲には一般の参拝客や節分会の参加者の姿が確認できた。ドローンと人々が同じ空間にいる状況だったわけだ。安全な運航を実現するため警視庁では「ドローンの活用に当たっては、市民の方々の理解をいただきつつ、飛行場所周辺に立入管理措置を行うなどして、ドローンの安全な飛行を確保しております」と説明。今回の雑踏警備ではドローンの飛行区域を明確に区切り、係留して飛行させていた。浅草寺周辺は人口集中地区に指定されていることから、適法な飛行手段のひとつである係留を選択したとも考えられる。「警察においても、航空法等関係法令の各種規定に基づいて対応しております」ということなので、今後もこのスタイルを踏襲するのではないだろうか。


さて、2024年4月から警視庁では警備第一課内に小型無人機係を設置した。今後警視庁としては「各種警備や災害対応の現場などの様々な場面で、ドローンを効果的に活用していくことを考えています」ということなので、同係が運用の中心に立ち、ドローンの活躍シーンが増えていきそうだ。

TRENDING STORIES