Advanced Air Mobility News

2023.12.26

ドローン&空飛ぶクルマの「二刀流」を使いこなす企業たち

今年は二刀流はお休みのようですが、ドローンビジネスのデプロイしかり、なんでももう1個、得意技があるのは便利なわけです。

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  • SkyDriveがインド工科大学ハイデラバード校のTiHAN(自動運転技術に関する研究所)と物流ドローン開発
  • Terra Droneと東京センチュリーはドローンを通じた社会課題の解決を目指し業務提携契約を締結
  • 背景には空飛ぶクルマの領域に事業を拡大したい2社の姿勢

空飛ぶクルマ企業は有人で飛行できる機体を作る技術を活かし、物流ドローンの開発にも努めている。また、ドローンで蓄えた知見を有人機の飛行に活かしたい企業も。今年も話題をさらった二刀流は野球だけでなくAAM業界でも求められ、ドローン・空飛ぶクルマの技術は互いに切磋琢磨しながら、改善が進む。
 
「空飛ぶクルマ」および「物流ドローン」を開発するSkyDriveは、インドにおける物流ドローン市場創出に向けて、インド工科大学ハイデラバード校の自動運転技術に関する研究所のTiHANと、物流ドローンに関する覚書を締結したことを発表した。
 
インド工科大学ハイデラバード校は、一流のエンジニアが最先端技術の研究を行っている名門大学。インド政府教育省が発行するNational Institutional Ranking Frameworkでは、インド国内の工学系研究機関として常にトップ10にランクインする。
 
インドは陸上の物流システムにおいて様々な課題に直面している。新たな物流手段としてドローン開発の意義は大きい。インドでの物流ドローン市場を創出するため、SkyDriveとインド工科大学ハイデラバード校はそれぞれの専門知識を共有し、市場機会を探る。
この取り組みは、「インドと日本のイノベーションを創造する」というビジョンのもと、自動車メーカー・スズキとインド工科大学ハイデラバード校が共同で設立したスズキイノベーションセンターの協力により実現した。スズキはSkyDriveが開発を進める「空飛ぶクルマ」の製造パートナーだ。
 
(プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000109.000038857.html )
 
有人で飛行できる空飛ぶクルマなら、人を載せずに貨物を積載しても構わないわけ。日本でも物流インフラの再構築は待ったなしの状況であり、インドでの取り組みが日本にフィードバックされることにも期待したい。
 
また、12月25日には、Terra Drone(テラドローン)と東京センチュリーは、ドローンの利活用を通じた社会課題の解決を目的に、業務提携契約を締結した。
 
テラドローンは日本をはじめ世界11カ国において、測量・点検・運航管理・農業の分野でエアモビリティの開発・ソリューションを提供している。これらの功績が評価され、ドローンサービス企業の世界ランキングで3年連続で2位(市場調査機関 Drone Industry Insights「ドローンサービス企業 世界ランキング2023(リモートセンシング部門)」(2023年10月発表))を獲得した。
 
同社が手掛ける運行管理システム(UTM)は世界8か国で導入されている。UTM開発を通じてドローンだけでなく有人機である「空飛ぶクルマの領域へも事業を拡大」(テラドローン関鉄平取締役)することを狙う。
 
国内外のパートナー企業との共創による「金融×サービス×事業」を融合したビジネスモデルを展開する金融・サービス企業である東京センチュリー。祖業のリースをはじめ、オートモビリティ(オートリース/レンタカー)や再生可能エネルギー、航空機、不動産など幅広い領域で事業を展開している。
 
(プレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000281.000020194.html )
2023年12月から東京センチュリーがテラドローンに出資していたが、今回の業務提携契約により協業関係を強化した格好だ。東京センチュリーは空飛ぶクルマメーカーの独・ボロコプターにも出資している。空飛ぶクルマの運航には現在の航空機の管制システムとは別の管制システム導入が求められており、テラドローンのUTMは候補の1つだろう。今回の取組により、テラドローンだけでなく、東京センチュリーもまた、空飛ぶクルマの発展に積極的に関わる姿勢を示したといえる。

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