- 『UD総点検』では障害をお持ちの方々等が空港の動線を実際に利用し、空港のバリアフリーやUDを点検・評価
- セントレアは今年度に開港20周年。開港当時と状況が変化
- 東海地方に拠点を置く各当事者団体と連携し今後の改善活動などにつなげてる
中部国際空港株式会社(所在地:愛知県常滑市)は、2024年2月13日(火)・26日(月)・28日(水)に中部国際空港セントレア(以下セントレア)開港以来初となる『UD総点検』を実施した。
『UD総点検』では、障害をお持ちの方々等が、航空旅客や一般来港者と同様に空港内の動線を実際に利用し、空港のバリアフリーやUDを点検・評価。その意見を今後の空港運営や施設整備に活用することを目的としている。
コロナ禍後の復便本格化や、2026年に愛知県や名古屋市で開催が予定されているアジア・アジアパラ競技大会など、これからも多様なバックグラウンドを持つお客様の利用機会が増加することを見越し、開港後初めて実施した。
■取り組みの背景
2005年2月に開港したセントレアでは、開港前から障害当事者・有識者団体(社会福祉法人AJU自立の家、以下AJU)などと共にユニバーサルデザイン研究会を設置。基本設計・実施設計・施工の各段階で、本研究会のさまざまな障害がある方や学識者から直接意見を求め、誰もが使いやすい空港づくりに取り組んできた。
セントレアは2024年度(2025年2月)に開港20周年を迎える。開港当時と比較し、外見から分かりづらい障害を持つ方や性的マイノリティの方への社会理解が進んだほか、バリアフリー法も整備され施行から17年が経過している。またこの間に、新たな施設(フライト・オブ・ドリームズ、第2ターミナルなど)が増設されており、取り巻く環境は大きく変化してきている。
取り巻く環境の変化に適応し、当空港が今後もより多くの利用者に選ばれる空港となるため、東海地方に拠点を置く各当事者団体と連携しUD総点検を実施し、改めて課題を洗い出し、空港全体で今後の改善活動などにつなげていく。
■検証属性
以下の当事者の方が総点検に参加し、空港内のUDを点検した。
肢体障害: 手動車いす、電動車いす、ストレッチャー、ステッキ
視覚障害:全盲、ロービジョン
聴覚障害:ろう、難聴
知的障害:軽・中等度(※)、そのご家族
その他の配慮が必要な方:幼児連れ、高齢者
※知的障害・発達障害については、部分的に当事者に代わって専門家が方に総点検を行った。
■スケジュール・ 動線
各日程における総点検のスケジュールおよび動線は以下の通り。
【2月13日(火)13:25~17:35】
施設:第1ターミナル スカイタウンおよびスカイデッキ/フライト・オブ・ドリームズ
場所:公共空間(店舗は対象外)
動線:一般来港者
【2月26日(月)13:25~17:50】
施設:第1ターミナル
場所:国際線出発・到着動線
動線:航空旅客
【2月28日(水)13:25~17:50】
施設:第2ターミナル
場所:国際線出発・到着動線
動線:航空旅客
■今後の取り組み予定
2023年度中に、UD総点検の結果を用いて『UD懇談会』の実施を予定している。この『UD懇談会』では、UD総点検での点検・評価結果をもとに、当事者/学識者/CX空港連絡会(※)で2024年度以降に取り組むべき課題を選定していく予定。
※CX空港連絡会:航空会社、警備会社、清掃会社、ホテル、販売、案内、旅行会社、交通機関、官庁等44の事業者から成る空港全体のCX(顧客体験価値)向上を目的とした組織体