
- 海上自衛隊の護衛艦「いずも」を違法に空撮した疑い
- ドローン飛行の法的規制や操縦者の適法精神求められる
- 観光地での空撮はどんなところに注意するべきか
2024年3月26日に中国のSNS・微博(ウェイボー)に投稿された1本の動画。それは海上自衛隊横須賀基地に停泊していた護衛艦「いずも」をドローンによって撮影したものだ。いずもの全長は248mで、ヘリコプター複数機が同時に発着艦できる「全通甲板」を備えている。いずもは現在、F-35B戦闘機の発着艦を可能にするべく改修を受けており、2027年度を目処に「空母化」が完了する見込みだという。


国防の要といえる護衛艦をドローンで撮影すること自体は問題ない。だが、3月に公開された映像は、まるで着艦するかのように、いずもの飛行甲板の上空を悠々と飛行する様子を映し出した。事態を重く見た防衛省は映像を分析。2024年5月9日、実際に撮影された映像である可能性が高いという見解を示した。
ロシアによるウクライナ侵略ではドローンが偵察だけでなく、爆弾を積み目標に突撃するような使われ方もされていると、連日報道されている。今回の事件は映像を公開されるだけで済んだが、攻撃も可能であることが白日にさらされてしまった。レーダー等の技術の利用や、自衛官が甲板に立って警戒に当たるなどでドローンの接近に対応ができそうだが、ある元防衛省関係者は「ドローンは小さく、速度も遅いのでレーダーに映りにくい」と対処の難しさを語る。だが、容易にドローンの侵入を許した点は改善が必須だ。
横須賀には海上自衛隊やアメリカ海軍の基地がある一方で、都心から近くて海が見えるスポットとして観光地にもなっている。特に横須賀駅前にあるヴェルニー公園は様々な護衛艦が一望できるスポットで、観光客が写真撮影するだけでなく、地域住人の憩いの場にもなっている。
ドローンは操縦者の適法精神が問われる。今回の映像を撮影した操縦者にはその欠片も感じられないが、どの点に違法性があるかを考えたい。
HOVERAri X1 Smartの登場で、海や護衛艦をバックに気軽に空撮を楽しみたい人も増えそうだ。そんな撮影は果たして可能なのか。今回の事件からは、観光地での空撮でどのような点に注意するべきかも考えられる。

(以下では関連する法律、観光地でドローンを飛行させる際に気をつけることについて紹介します)