DRONE NEWS

2024.03.25

水素燃料ドローンの開発に各社が参戦するワケ

水素燃料電池ドローンの開発が進められている。トヨタ自動車も参戦するその模様を、他のモビリティの開発動向も交えながら紹介。

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  • OKUMA DRONEが水素燃料ドローンの基礎開発を完了
  • 水素燃料とリポバッテリーを併用するハイブリッド機
  • トヨタ自動車も開発を進める

2024年3月19日、福島県を拠点に水素燃料ドローンを開発するOKUMA DRONEは、福島県の令和5年度「地域復興実用化開発等促進事業」のロボット・ドローン分野において提案していた3つの実証実験事業が完了したと発表。今回はこのなかで取り上げられた「水素燃料ドローンの基礎研究開発」について取り上げる。


OKUMA DRONEはDroneWorksSystem連携して「水素燃料電池を用いたカーボンニュートラル機(補助にリポバッテリーを使用するハイブリッド仕様)」「最大離陸重量40kg時に飛行時間15分」の機体を開発。1月25日には技術検証のための飛行試験を行った。この機体の開発により、従来3分程度だった飛行時間を5倍の15分まで延ばすことに成功。今後は山間部での重量物輸送や、災害時の救援物資の運搬に利用できるように、機体をブラッシュアップしていく方向だ。

屋内試験飛行の模様
屋内飛行試験の視察風景


ここで改めて「水素燃料電池」について紹介しよう。「水素燃料」と「燃料電池」にわけて解説する。


地球温暖化が進んでいる。その原因のひとつとして、燃料を使用した際に発生する二酸化炭素が挙げられる。水素は酸素と結びつければ発熱したり、熱エネルギーを放出したりするが、この化学反応が起こるときには二酸化炭素がほとんど発生せず、水ができる。そこで、水素を酸化させたり燃焼させたりして発生するエネルギーを利用しようと考えられた。これが「水素燃料」だ。


「燃料電池」は水素と酸素を化学反応させることで発生する電気や熱を作る装置をいい、いわば発電所のような役割を担っている。家庭で電気やお湯が作れる「エネファーム」が普及しているが、これも燃料電池の一種だ。エネファームではガスから水素を取り出し、空気中の酸素と反応させて、電気を作る。また、発生した熱を利用してお湯も沸かせる。


メリットが多い水素燃料だが、水素事態の製造コストが割高だったり、輸送に課題があったりしており、普及にはまだ時間がかかるという。

水素燃料電池+Lipoバッテリーを搭載したHybridドローン機体


他社の水素燃料電池ドローンの開発状況を見てみよう。


トヨタ自動車は2024年1月に公開した広報サイト「トヨタイムズ」で水素燃料ドローンを開発していたことを明らかにしている。

(以下では、各社の水素燃料ドローンの開発状況、他のモビリティにおける水素燃料電池搭載の状況、水素燃料ドローンの今後の発展について紹介します)

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