
- 共和製作所、名備運輸、APPTUNEは共同でドローン用「電源ケーブル入り強化アラミド繊維ロープ」を開発
- 物資を運搬、物件投下するドローンに搭載する
- 高齢化が進むなかで課題となっている林業従事者の苗木運搬作業の課題解決を目指す

開発のきっかけは、高齢化が進行し、深刻な課題となっている林業従事者の苗木運搬作業だった。金属ワイヤーと比較して、その軽さと耐久性が特徴となっている。また、災害時の救助や物資の運搬にも期待されている。

ロープの使用イメージ(苗木運搬の場合)
1、ドローンを起動し、上空数メートルの高さでホバリング(空中停止)させる。
2、ウィンチ(ロープを巻き上げる装置)からロープを垂れ下げて、ロープの先端の電動開閉フック(以下・フック)に苗木を取り付ける。
3、ウィンチを巻き上げて、ロープを短くしたら植林を行う目的地まで移動する。
4、目的地に着いたら、上空でホバリングし、ロープを垂れ下げて、フックを開いて苗木を降ろす。
開発の背景~林業の作業改善・物流2024年問題の解決
林業の高齢化と物流問題の解決策として、自動車運送事業を展開する名備運輸とドローンンの機体開発・販売を手掛けるAPPTUNEが協力し、産業用ドローン「Carry MD1」の開発プロジェクトが始動した。
開発中、過酷な環境でのドローン利用を見越し、軽量で耐久性の高いロープが必要と判断。複合素材の加工に強みがあり、ロープ開発の経験がある共和製作所が参画した。
2022年から試作を重ね、2024年には「電源ケーブル入り強化アラミド繊維ロープ」が完成した。
電源ケーブル入り強化アラミド繊維ロープの強み

◎荷物を吊るすロープと電源ケーブルが一体化
通常のドローン用のロープは、荷物を吊るす(荷吊用)ロープと電源用ケーブルが別々になっている。
これにより、以下のような課題が生じる。
・フックの開閉専用に電源と受信機の設置が必要
・電源ケーブル用のウィンチが追加で必要
・荷物を吊るすロープと電源用のケーブルを、それぞれ別のウィンチで巻き取る操作が必要
これに対して、新たに開発された電源ケーブル入り強化アラミド繊維ロープは、 2本のロープが一本化されるため、軽量化により飛行時間の延長とペイロードの増加や、システムの一本化により、フックの誤動作や混信のリスクを低減させ、より効率的で確実な物件投下作業が可能になった。
◎アラミド繊維・安全性と軽量化を同時に実現
今回使用しているアラミド繊維は極軽量、高強度、非導電、耐熱、耐切創、低伸度、耐疲労などの特性を持つ。
これらの特性は植林の苗木を下ろす際の軽量化と安全性に大きく寄与している。また、アラミド繊維は軍隊の制服やNASAの無人火星探査機でも使用され、その信頼性が証明されている。
電源ケーブル入り強化アラミド繊維ロープへの情熱
荷物を運ぶドローンにおいて、荷吊用ロープが断裂し、荷物が落下する事態は絶対に避けなければならない。通常は、金属製のワイヤーか樹脂ロープが使用されるケースが多いが、金属製のワイヤーは重すぎて、樹脂ロープは破断する恐れがある。この課題に対処し、安全性を保ちつつも重量の問題を解決するために、極軽量なアラミドを採用し、軽量化を実現した。
この商品は、運送事業を営む名備運輸の物流業界激変の声、ドローン開発に挑み続けるAPPTUNEの培った技術、難加工な複合素材にも対応する共和製作所の3社が揃った情熱と技術の結集したものだ。安全性と軽量性の双方を大切にし、ドローンのパフォーマンス向上に貢献する「ドローン用電源ケーブル入り強化アラミド繊維ロープ」は、植林だけでなく、荷物の配送や災害時の物資輸送など人々の生活・ライフラインとなり、社会に貢献する。
商品仕様
商品名 ドローン用電源ケーブル入り強化アラミド繊維ロープ
販売価格 220,000円(税抜き)/10m
素材 中線 :アラミド繊維(ケブラー繊維)
中線被膜:ポリエステル繊維(組紐鞘/黒色PET糸)
リード線:3本
外装被膜:ポリエステル繊維(組紐鞘/黒色PET糸)
長さ 10mから販売可能。※10m単位で販売。
重さ 96g/10m
安全使用荷重 30kg
販売開始日 最終実証実験:2024年2月頃予定、販売:2024年3月25日予定
販売場所 株式会社共和製作所
※産業用ドローン「Carry MD1」及びウィンチについては 株式会社APPTUNETRADEのドローン事業 にお問い合わせください。