- 関東と関西のイオンモールにバーティポートを設置
- 店舗で作った再生エネルギーを給電にも利用
- 浮体式ポートの開発も進む
2024年3月15日、ANAホールディングス(以下、ANAHD)とイオンモールは、関東と関西のイオンモールに空飛ぶクルマの離着陸場、いわゆる「バーティポート」を設置することを目指し、覚書を締結した。バーティポートの開発や運用、事業性、法律・制度や社会受容性などについて、検討を進める。
イオンモールが打ち出したキャッチフレーズは「まちの中の新たな空港」。2024年3月現在、国内に166店舗があり、そのうち関東と関西(イオンモールの店舗案内では近畿と分類)にイオンモールと名の付く店舗は57店が確認できる。「地方ロードサイド店の雄」のようなイメージがあるイオンモールだが、現在では都会的なテナントを目当てに地域住人たちが集まる。いわばコミュニティの中心、町の中心のようなポジションとなっている。
実際、イオンモールは2030年ビジョン「イオンモールは地域共創業へ」を掲げ、地域社会の課題解決や新たな価値創造に取り組むとしている。バーティポート設置は、ANAHDが運航を目指すエアタクシーをイオンモールに実装することで、地域住人が気軽に来店できる環境づくりを進め、新たな価値創造を目指す取組の一環といえる。また、2040年までに直営モールでの地産地消の再エネ比率100%を目指しており、エアモビリティにも再生エネルギーを給電する考えだ。
ANAHDは2022年2月にアメリカの空飛ぶクルマ開発会社・Jobyとパートナーシップを締結し、2025年の大阪・関西万博で運航する。また、その後の動きとして、関東圏、関西圏で電動エアモビリティによるエアタクシーサービスの展開も検討中だと明らかにしている。
空飛ぶクルマを社会実装するうえでは機体の開発だけでなく、バーティポートの整備も同時に進める必要がある。ANAHDはこれまでも利便性の高いバーティポート設置に向けて、各種パートナーと連権を取り組んできた。
2023年12月にバーティポート開発に向けた共同検討に関する覚書を締結した野村不動産は、「東京ベイeSGプロジェクト 令和5年度先行プロジェクト」でeVTOL用の浮体式ポートに関する実証事業を行っている。研究が進められている浮体式ポートは、海や川など水上へ設置するもので、バーティポートの設置箇所を増やすのに有効的と考えられている。
(以下では、バーティポート設置に向けた各社の動きや今後の展望、空飛ぶクルマの実機写真を紹介します)